汝、諸々の艱難より我を救い出し給へ
トム・オルブライト博士
2003年2月9日
May He Rescue Me From All My Tribulations
Tom Olbricht
サムエル前書26章1節〜25節 24章17節以下においてサウル王はダビデに向かって『お前の方が私よりも正しい』 と告白しています。
サウルはダヴィデに対して悪しきことを企んだのでした。 20節はやがてダヴィデが王になるであろうことをサウルが悟ったと記しています。 それなのにサウルはこれらのことを忘れて再びダヴィデを亡き者にしようと試みま した。
サウルはイラクのサダム・フセインの雛形なのでしょうか? サウルとサダム・フセインを比較してみてはいかがでしょうか? その前にまず、サウルの時代に起った一連のできごとに留意してみましょう。 1.ジフの荒野の中で 26章1節〜2節 A ジフ人たちがサウルにダヴィデのことを告げ口する B サウルが応対する
1 兵3千人を引率して出陣する 2 ハキラの丘に陣を構える C ダヴィデは荒野に留まる 26章3節〜7節
1 ダヴィデは斥候を放ちサウルの追跡を確認する
2 ダヴィデ自身が出て行く
3 サウルとアブネルは陣営の中で寝ている
4 ダヴィデはヘテ人アヒメレクと、ゼルヤの子でヨアブの兄弟の
アビシャイに『誰が私と一緒にサウルの陣に行くか』と問う 5 アビシャイは『同行する』と答えるが、アヒメレクは応答せず D ダヴィデとアビシャイ 26章8節〜12節
1 アビシャイがダヴィデに言う
『神は敵をあなたの手に渡された。 私が槍で一突きにする』
2 ダヴィデはアビシャイに言う
『神が油を注がれた者を殺すわけにはゆかない』
3 ダヴィデは更にアビシャイに語る
『主御自身が彼を撃たれる。 彼の死ぬ日は必ず来る』
4 『サウルの枕元にある槍と水瓶を持ち去れ』と命令する
5 神がサウルを深い眠りにつかせられた
6 個人的な追憶になり恐縮だが、1983年に私たち家族が欧州旅行中
スイスのローザンヌからギリシャのアテネまで寝台列車を利用
したことがあった。
翌早朝に妻の枕元からハンド・バッグが
消えていた。
その時の説明によると、イタリヤの列車窃盗団
が旅客の睡眠中に催眠ガスを使って貴重品を盗むということで
あった… E ダヴィデからサウルに 26章13節〜16節
1 ダヴィデが遠く離れた丘の上から呼びかける
2 『アブネル。 お前は死に値する。 お前は王の警護を怠った』
3 サウルがダヴィデの声を認識する
a 『わが子ダヴィデょ』とサウルが答える
b ダヴィデはサウルに『なぜ私を追うのか』と訊ねる
1 『私は何をしたというのですか?』
2 『主からであるなら供え物を受けて和らいで下さい』
3 『もし人からなら主の前に呪いを受けるように』
4 『イスラェルの王が蚤一匹を追うように出て来たのです』
4 サウル 26章17節〜21節
a 『私は間違いを犯した』
b 『私はお前に二度と禍をもたらすことをしない』
c 『私の命はお前の目には尊かった』
d 『私は愚かであった』
5 ダヴィデ 26章22節〜25節
a 『一人の若者を寄越して槍を持ち帰らせて下さい』
b 『主なる神は人おのおのに義と真実に従い報われます』
c 『主が油を注がれた人に私は手をかけなかった』
d 『主なる神が私を諸々の苦難から救い出して下さるように』 F サウル 『わが子ダヴィデ。 お前は誉むべき者だ。 多くの善き業を
行い、それをなし遂げるであろう』 2 サウルとしてのサダム・フセイン A フセインは神によって油注がれた者ではない…という意見がある。
しかし、使徒パウロは違った見解を持っている
1 ロマ書13章2節 『権威に逆らう者は神の定めに背く者である』
2 神は神が悪い者と定められた者を支持なさらないのだから、
そのことから、神がサダム・フセインを支持なさっているとは
推測しない
3 神はサウルの残虐非道の故にサウルを支持なさらなかった
4 神は長期に亙ってフセインを支持なさらないであろう
5 サウルがそうであったようにフセインも暴挙を繰り返すであろう
6 神がサウルを拒否された後も数年に亙って悪事を繰り返していた
7 それと同様にフセインも悪事を繰り返すであろう B フセインにやって来るであろう事態がいつどのように起るのであろうか
1 それらについて誰も答えられる者はいない
2 しかし歴史から学んだものがある
ナポレオンは滅び、ヒットラーも滅び、ムッソリーニも滅び、
イワン雷帝も滅んだ
3 腐り切った大手商社の重役たちも次から次にと終焉を迎えている
4 米国の殆どの市町村では毎年のように何かしら一種の共同募金が
行われている。
YMCA、YWCA、ボーイ・スカウト及びガール・
スカウトなどが集めた募金で、ホームレスの救護所の設置や、
リハビリ・センターの設置、赤十字用募金、青少年用施設設立
などに用いている。
然し、数こそ少ないが、募金を横領する
不心得者がどこかに必ず出てくるようである
5 サムエル前書26章10節
『主は生きておられる。
主が彼を撃たれるであろう。
或は彼の死ぬ日が来るであろう。 或は戦いに下って行って
滅びるであろう』
6 このことは、31章が語るように、ギルボア山でペリシテ人たちが
サウルの家族と軍勢を滅ぼし、サウル自身も剣で自害した C アメリカ合衆国政府はフセインに死をもたらすための神の源泉だろうか
1 ペリシテ人たちがサウルに死をもたらした サムエル前書31章
2 エジプト王パロ・ネコがヨシア王を殺した 列王紀24章28節
3 ヘロデ王は虫に噛まれて死んだ
使徒行伝12章23節
4 エリヤはバアルの預言者たちを殺した 列王紀上18章40節
5 フセインを滅ぼすために神が米政府をもちいられるのか?
私は答を知らないが、その可能性も否定もできない D 私たちクリスチャンは何をすべきなのか
1 私たちがまず最初に悪を行う者たちを撃つべき者であるのか…
私は答を知らない
2 サムエル前書26章からダヴィデの在り方を読むと、神は神の方法
で悪しき者の始末をなさるのではないかと教えられる F 以下のことは確かであろう
1 私たちの心の中に誰に対しても憎悪の念がないことを確認しよう
2 米国大統領と世界の指導者たちのために祈ろう
3 臨戦態勢を採る軍人たちのために祈ろう
4 イラクのフセインや市民たちのために祈ろう
5 テロリストの心が変わるように祈ろう
6 憎悪の念を煽る者たちに組しないように心がけよう
7 テロリストに対してわたしたちが憎悪の念で接するのであれば、
長期的に眺めて私たちも敗者となることに注意しよう
8 もし私たちが戦うのであれば、そして私たちが勝つのであれば、
それは「私たちが義しい」というのではなく、彼らが悪しき者
であるからである 申命記9章4節〜5節 結論 神は私たちに『敵を愛せよ』と呼びかけておられる
マタイ伝5章43節〜48節 (訳者注:
この文は2003年2月9日に米国ニューハンプシャー州ドーヴァーにある キリストの教会の礼拝説教の骨子である。
ブッシュ大統領によるイラク先制攻撃が 切迫していると言われている時期を意識されてのメッセ−ジであろうと思われる。 かねがね私淑している教授の説教概要を入手したので翻訳許可を求め許可された。 日本教会の為に語られたものではないので文中の共同募金及び博士ご一家の欧州旅行 のエピソードなどは翻訳者が教授に説明を求め、それに対して教授がお答え下さった ものを補足的に付け加えて文脈をよりわかり易くした。) Dr.Tom Olbricht, 14
Beaver Dam Road, South Berwick, Maine 03908, USA tom-olbricht@attbi.com |