今週の週報を作っている時、電話が鳴りました。

  金曜日の夜10時過ぎのことでした。  近所の人で、動物写真専門家の

増田戻樹さんらの電話でした。  近所といっても、こちらは山の中です

から雨の夜の山の中を歩いて行く訳には行きません。  ジムニーという

小さな車に乗って、山のガタガタ道を遠回りをして、増田さんの家に行

きました。  白と黒の混じった中型犬のオスが鎖につながれていまし

た。  見た感じではイングリッシュ・ポインターという犬らしく、山の

中で猟師が動物を鉄砲で撃つ時に獲物を探す専門の犬です。

 

  少し痩せて、おなかがペコペコで、オドオドして怖がっていました。

この前の週の連休の時に、飼い主の車に乗せられて別荘に来たのでしょ

うか。  そして迷子になり、山の中をさまよい、さみしくなり、心配に

なり、おなかがペコペコになって、ほかの犬の臭いをかいで、増田さん

の家にたどり着いたのだと思います。  増田さんも困っていました。

  飼い主の人も犬を探したと思いますが、八ヶ岳は大きい山なので迷子

なると絶対に見付かりません。  どうやら犬のことを余り知らない飼い

主らしく、どうして良いのか分からず、役場にも警察にも届けず、諦め

て、心配しながら、都会に帰って行ったのではないかと思います。

 

  この犬が都会の犬ではないのかなと、どうして思ったかと言います

と、この辺りにどんな種類の犬がいるのかは何となく大体分かっていま

すし、犬の好きな人々に訊けば分かるのです。  そしてイングリシュ・

ポインターを飼っている人は八ヶ岳の南側にそんなにいないのです。

  もう一つの理由は、耳の中がとっても奇麗にお掃除してあること

と、金属のチエーンの首輪をしていることでした。  しかし首輪に飼い

主の名前も電話番号もありません。  犬の名前も分かりません。

暗やみの山の中ですが、見たところ1歳を少し過ぎた感じのオスです。

  まったく手掛かりがないので、飼い主を探し出すことはできません。

 

  山梨県と長野県の警察と保健所、そして周辺の町や村の役場など8ヶ

所に電話しましたが、飼い主からの届け出はなく、分かりませんでし

た。  保健所では2〜3日の公示後、処分すると言います。  それで、

公示を更に延ばし、殺さないように頼みました。  再度の公示期間が終

り、保健所から正式にベタニヤ・ホームに犬の処分が任されました。

  こんな訳で犬の名前も飼い主も分からない可哀想な迷子犬が、今年も

またベタニヤ・ホームにやって来ました。  犬を理解する親切な新しい

飼い主が見付かる迄います。  そのような人を探すのもまた苦労です。

 

  聖書の黙示録2012節には、「いのちの本」に名前が書かれていない

人が、やがて神様の前で困ることになると書いてあります。

  あなたの名前は神様の「いのちの本」に書いてあるのでしょうか?