《アメリカの大統領選挙》

 

  『いま、NHK-TVでアメリカの福音派とブッシュについてやっています。

「聖戦」集会だって、スタジアムで集会やって、ある人は両腕を天に向けて広げて

涙を流し、讚美歌に合わせて体を揺らし、インタビューでは、彼(ブッシュ)のやる

事は全て支持します。  神の意志で彼は選ばれたのだから…と、まるでオームや、

統一原理と変わらない雰囲気です。  盲目的な信仰?は本当に危険だなと感じます。

  自ら考える事を放棄して、全てを神の名の元に行動してしまうなんて、大戦中の

日本みたいな危険を感じます。  余りにもゾッとしたのでメールしてみました。』

  伝道者の長男、茨城の精神科のクリニックで働く野村眞理さんからの感想です。

 

  音声を消して画面だけを眺めてみれば、それは確かに福音派原理主義者たちの

集まりにも見えるし、オウムの集会とも統一原理の異常な集会とも見えるのです。

 

  信仰とは信じる個人と信じる対象の神なり仏との一対一の関係な筈です。

しかしそのような信じる個人個人が集まり始めますと、そこには個人の信仰を越えた

宗教というものが生まれ、宗教集団が生まれて来ます。

  そうなりますとその宗教集団は宗教儀式を守り始め、職業的宗教指導者層を求める

ようになるのが普通です。  各自はめいめいの信仰を堅く守るということを放棄する

ようになり、職業的宗教指導者たちの言うが儘に盲目的に従うという状態が普通とな

り、それが最初に信じた信仰とは別のものであるということを問わなくなります。

烏合の衆と化した各信者は宗教集団に呑みこまれて主体性を放棄してゆくのです。

 

  宗教集団は、職業的宗教指導者層の指揮下に在って、その宗教的集団が置かれて

いる場所で一番大きくて強い権力集団の猿真似をするようになるのが普通です。

  ローマにあった教会は強大なローマ帝国の真似を始めました。  そしてローマ帝国

滅亡後も、こん日に到る迄、大きな勢力として全世界に厳然と君臨しています。

  教会史を学ぶ折りに、個人個人の信仰者→宗教組織化→政治軍事経済的権力集団化

という傾向をほとんどの場合たどるのが必然だと学ぶのです。

 

  オウムもそのような誘惑に陥り軍事武装闘争を試みて失敗ました。  統一原理協会

・勝共連盟も必然的に似たような経路を辿っています。  創価学会は公明党を生み、

積極的に与党側に寄生しています。  立正佼成会も、たとえば学校経営などにも手を

出し、事業化し、そしてある種の政治圧力団体となっているように思えます。

  隣村から起ったと言われている真如苑という宗教団体も立川市の泉体育館横に目を

見張るような絢爛豪華な建物を最近完成させました。  次には政治的団体に変身する

可能性がないとも言えないでしょう。  それが宗教団体の持つ弱点の一つです。

 

  ブッシュ政権を支えているアメリカ原理主義福音派のキリスト教も全く歴史的に

は同じ傾向を踏み、下記の「宗教酒」の臭いと勢力を強くしているように思えます。

  信仰とはあくまでも個人的なものである筈です。  他者と神に仕えるというイェス

の姿勢を求める信仰生活を、生涯を賭けて求道巡礼者でありたいと願う生活態度を、

いつの間にか忘れると、それは恐ろしい結果を招くだけなのです。

 

  以非エセ宗教・擬似宗教が提供する特徴のある銘柄に「宗教酒」があります。

  エペソ書5章18節で、邦語訳聖書はただ単に「乱行・放蕩」としか訳してないので

すが、原文のハソティア 'asotia、乱痴気騒ぎ wantonness = debaucheryという単語

が使われています。  その意味することは「抑制出来ない過度のふざけ」を意味し、

そのような恐ろしい状態を招き導く悪質な「宗教酒」ゆえの警告なのです。

 

  一方、19節~21節には恐ろしい「宗教酒」がもたらすことができない信仰の具体的

な内容が説明されています。  ガラテヤ書5章22節~23節に通じるものがあります。

 

  今回のテレビ放映は正しくそういった宗教酒によるハソティア=乱痴気騒ぎを如実

に証明していたのではないでしょうか?

  イスラム教徒の過激派がアッラーと神の名を叫んでテロ行為を正当化しているのと

少しも変わりがありません。  放浪日本青年が抑留され生命が危ないようですし…

 

  また更にテレビの音声を消して画像だけを眺めてみますと、ナチス党がヒットラー

を絶賛しているのと同じに見えます。  宮城前広場に集まって日の丸の小旗を振った

嘗ての東京市民の姿と同じにも見えます。  ルーマニアのチャウシスク軍事独裁政権

時に動員された群衆や、中国共産党支配下で起った紅衛兵旋風時の大行進も、現在の

北朝鮮平壌に見る金日成・金正日万歳行進も、ブッシ政権を支えている米国原理主義

福音派右翼キリスト教徒の常軌を逸した行動も、みんな同じように見えるのです。

 

  2001年9月11日のニュー・ヨーク同時多発テロ事件を起こした張本人とされている

オサマ・ビン・ラデンを捜索するという大義名分を掲げてアフガニスタン侵略攻撃を

開始したブッシュ政権を熱狂的に支持して God Bless America! と絶叫し続けた米国

原理主義福音派のキリスト教会にとっての神と、イスラム過激派が言うアッラーの神

も、私たち部外者にとっては共にどっちも「ちっぽけな安っぽい神」であり、人間の

欲望の手段・道具としての神にしか過ぎないと思えます。  自分の腹、欲望が神なの

です。  『自分の腹に仕え、甘言と美辞を持って純朴な人々の心を欺く者ども』とは

そのような乱痴気騒ぎ宗教集団とその指導者たちへのロマ書1618節の警告です。

 

  アフガニスタンでどれほど多くの罪のない婦女子が殺戮され、どれだけ多くの子供

が劣化ウラン弾の犠牲になり、どれだけ多くの子供や兄弟姉妹や両親が地雷で手足を

失ったというのでしょうか?  精神に異常を招いてしまった人々も多いでしょう。

 

  それにも懲りず、次には大量破壊兵器が隠匿されていると、有りもしなかった武器

を世界の恐怖として煽り揚げ、国連の同意を得ずに、一方的に世界最新最強の兵器を

動員してイラク侵略を命令したブッシュ政権を、米国原理主義福音派教会は圧倒的に

盲目的に支持し続けているのです。  恐ろしいのは「宗教酒に酔う」ことです。

 

  どれだけ多くの婦女子が再び犠牲になっても、それら右翼政治圧力団体化している

原理主義福音派キリスト教会とその信者たちはイラクの人々の悲鳴を聴くことも現実

を直視しようともしないのです。  相変わらず God Bless America! を絶叫し続けて

いるのです。  あと数日で米国と世界の今後が決まる選挙が始まります。  主の祈り

の『御国を来たらせ給え。  御心を行わせ給え!』と祈らざるを得ません。

 

  彼らの信じている筈のイェスが『剣で立つ者は剣で滅びる』と警告されても一向に

聴く耳を持たない乱痴気騒ぎ状態に陥っているのです。  恐ろしいのは宗教酒です。

  敵を愛すること、赦すこと、弱者を顧みること、これらはイェスの教えの筈です。

米国兵士も多く戦場に散り、その家族もどれほど嘆いていることでしょうか?

  ホワイト・ハウスやペンタゴンに住み戦争を指揮する「お偉がた」が傷つくことは

ないのです。  戦争をするごとに儲ける一握りの人間がその後ろには居るのです。

 

  『鳩の如く柔和で、蛇の如く聡くあれ』(マタイ伝1016節)と言われたイェスの

言葉をブッシュ大万万歳!を絶叫し God Bless America! を唱える教会とその信者ら

はどのように捉えているのでしょうか?  「宗教酒に酔う」ことは恐ろしいです。

 

  みずからが自分のイェスに対する信仰を確かなものとする必要があるのです。

  「アーメン・ソーメン・ハレルヤ狂(教)の教会ゴッゴ」が提供する「宗教酒」は

極めて危険であるとことを各自がしっかりと肝に銘じておきたいものです。